【384】マタギ奇談
工藤隆雄さんの「マタギ奇談」を読みました。
著者が、現代の登山者にも役立つ登山技術を、マタギから取材する合間に、聞いたという奇妙な話の数々…。
本当に奇妙としか思えない、人智を超えた話ばかりで度肝を抜かれました。
山の神様はオコゼとサゲフリが好きという言い伝え、忌み数の祟りなどの民俗習俗が、非常に興味深かったです。
どの山も神聖で神々が宿っている、とわかった上で、登山やキャンプをしなくてはいけないですよね。
昔からの禁忌を破ってはいけないのです。
山の掟を絶対に守るべし。
私も、そう心に誓いました。
マタギは、山の神に感謝して、来年以降の収穫もできるよう自然を大事にして共生してきた方たちでした。
白神山地が世界遺産になり、鳥獣保護区になったことで、マタギの文化が途絶えたなんて…。
辛い事実を知って、大変残念に思いました。
新田治郎さんの「八甲田山」の話がまさかの…史実曲げ(ショック…)だし。
山津波の後に起こった信じられない出来事とか。
人間の愚かさも、よくわかる本でした。
個人的には、四つグマの「K」に怒り心頭でした。
マタギは、山を一番よく知るプロフェッショナルな集団だったということ…。
もっと知られて、たくさんの方に読んでほしい本でした。
【720】絵を見る技術
秋田麻早子さんの「絵を見る技術 ~名画の構造を読み解く~」を読みました。
私は昔から美術館や博物館が好きです。
学生時代に学芸員資格をとっちゃうくらい、好きです(^^)
美術館には、休日にたっぷり時間かけて行ったり、仕事帰りに寄ったり…。
馴染み深い場所の1つです。
音声ガイダンスは利用せず、気になる絵画だけパネル解説を読むという鑑賞方法で、自分なりに楽しんでいました。
しかーし!
この1冊を読んだ後では、絵画の見方が150°くらいクルリと変わる!と思います。
自分で、絵画に秘められた意味を読み解けるなんて、面白すぎます!!
美術や芸術というと、
感覚だけがすべてかと思っていましたが、
案外論理的だし科学的でもある…ことがわかりました。
シャーロック・ホームズいわく、「この世は誰も観察しようともしないけれど、明らかなことに満ちている」のだそうです。
絵画にも、明らかなことが満ちているの?!
観察しようとしなかったなんて、もったいなかったな。
こちらの本では、6つの観点で、絵画の見方を教えてくれます。
①フォーカルポイント(目立つ箇所)
②経路、つながりの探し方
③バランスの見方
④絵画と色の秘密
⑤構図と比例
⑥統一感
なかでも②④が面白かったです!
秋田さんの先生が言った言葉「一瞬の理想的な瞬間を絵の中に組織化しようとする試み」の意味がよくわかります。
ぎゅうっと濃縮されたきらめきの瞬間が、時を経て味わえるのです。
絵画がますます好きになりますし、これから観に行って、絵筆のタッチなども含めて実物を見るのが楽しみになります!
【913ノ】銭形平次捕物控 傑作集①
以前映画で紹介した「銭形平次」…の原作本です。
予想以上に面白かった!!です。
平次のいなせで情に絆されやすい人柄が親しみやすく、まるで一緒に江戸の街を駆けて、推理している気分でした。
事件の後にちょろりと言うセリフが深い…。
八も大活躍!
八がいなければ、もっと暗いテイストだったろうな…と思います。
今回は「陰謀・仇討扁」として、陰謀やら仇討の話がいっぱい出てきました。
切り口が新しくて、真犯人がわからないという本格ミステリーの側面もありました。
■金色の処女
■傀儡名臣
■十手の道
■敵討果てて
■二人浜路
■火の呪い
「金色の処女」は、まだ独身だったお静さんがピンチになる話。
平次は、無事に助けることができるのか??
「傀儡名臣」は、かなりの秀作です。
「十手の道」は、切ない…。仕事への矜持をみた作品でした。
「敵討果てて」は、壁に耳あり、障子に目あり…。
「二人浜路」は、入れ替わりもの。犯行動機もなるほどなぁ、と思うものでした。
「火の呪い」は、今じゃ書けない話な気がします…。八の活躍もありました…。
続刊も読んでいくつもりでいます。
【913モ】しのぶ恋 浮世七景
【498】毎朝10回の「深い呼吸」で体が変わる
日本丹田呼吸法セラピー協会代表、藤麻美子氏の「毎朝10回の『深い呼吸』で体が変わる」を読みました。
1日にたった10回深い呼吸をするだけで、不調が改善したり、将来の病気を防ぐことができ、
心・精神のよりよい変化、脳の変化に伴うやる気の向上、などなど良い効果が見込めるそうです。
キーワードは「丹田」「朝日」「継続」。
「5秒かけて鼻から吸って、10秒かけて口から吐く」
※詳細は本に書いてあります。
たったこれだけ、道具もお金もいりません。
応用編として、「丹田フラダンス」というフラダンスをしながら優雅な気持ちで呼吸する…動きもあります。
見るからに気持ちが良さそう(〃´ω`〃)
簡単な呼吸法は、さっそく今夜からやってみたいと思います。
継続して頑張るぞ!気合もりもり💪✨
いろいろ改善して、全てが良い方向に向かうといいな。
数年前からヨガを習っていますが、ポーズが難しく呼吸を忘れているときもしばしば…。
呼吸法を身につけて、自然にできるようになったら、さらに効果がありそうですね😄
ベストタイミングで、今の自分にベストな本が読めました🎵
【映画】若さま侍捕物帖
1960年公開の映画「若さま侍捕物帖」を観ました。
若様演じる大川橋蔵さまがなかなか出てこず、
(若様はまだかしら…ドキドキ)と焦らされました。あくまでも私個人は、ですが(笑)
「若様がネ…」「若様いねーのかい?」と裏で盛り上げておいて、
満を持して、本人が出てきたときの衝撃ったら!
本当に根っからのスターで、オーラがびんびんに伝わってきました。
大人のいなせな艶やかさ、少年のような朗らかな笑顔、でも中身は正義感で人一倍熱いオトコ!魅力的すぎる。
周りが放っておくはずがありません!
結局、若様は何者なのかはわからないですが
たぶん徳川の血筋で身分が高い方なんだろうな。
水戸黄門のように印籠を出して高貴な身分で、ビックリさせるのも楽しいのですが、
立ち回り(うっとりするような太刀捌き)で自力で解決しちゃうところがgood👌でした。
大川橋蔵さん演じる若様は、みんなに好かれているけど、誰のものではありません。
誰に肩入れするわけでもなく、飄々とその場その場を楽しみます。
こういう男性はモテるでしょうね。
若きころの三田佳子さんが美しかった。
ミュージカル仕立てで、歌や踊り(琉球舞踊)も見られて楽しいです。
最後は勧善懲悪なので、すかっとハッピーになること間違いなしです。
シリーズも見ていきたいです。
【913フ】大雪物語
藤田宜永さんの「大雪物語」を読みました。
- 作者:藤田 宜永
- 発売日: 2019/12/13
- メディア: 文庫
K町という軽井沢を舞台にした、6つの短編が収録されています。
連作短編ではなく、1つ1つが独立した話になっています。
予想しない大雪がもたらした「変化」とは…。
■転落
■墓掘り
■雪男
■雪の華
■わだかまり
■雨だれのプレリュード
それぞれ6話、最後にポッと心の灯りがともるような読後感です。
雪がしんしんと降り積もり、音が吸い込まれる静寂のなか、かまくらに入っているような感覚でした。
すっぽりと、柔らかいもので包まれているような…。
どの話もすべて好きなのですが、やはり最後の話が…ぐっ、ときました。
「いつだって何度だってやり直せる」
そんなメッセージを受けとりました。